おもてなしからひとりゴハンまで簡単レシピはがびのキッチン@オーストラリアで

中華バーベキュー屋の四寶飯

学校で次の日の準備をしていると、時のたつのを忘れてしまうことがよくあります。
校舎の外に出ると、すでに誰もいない中庭にわたしの靴音が響き渡ります。
ほんの数時間前まで、子供たちの賑やかな声が聞こえていたところですから、一瞬異なる次元に迷い込んでしまったような感覚を覚えるのもそんなときです。

こういうときにはもちろんハラ時計も鳴り響きますから、わたしはスーパーに買い物に行くかちょっとしたものを食べに行くか、決めなければなりません。

疲れてしまって何もつくりたくないときにわたしがよく行くのは、中華バーベキューの店です。
パースにはベトナム人や中国人の店が並ぶエスニックな一角があり、簡素な作りの一膳飯屋がウィンドウに焼鴨やチャーシュー、鶏肉の醤油ローストなどを並べているのです。
近くのひとが気軽にローストを買いに来る店でもあり、ひとりで食べているひとも多く、わたしもよくここで早めの夕食を済ませてしまうことがあります。

この店には「四寶飯」などという豪勢な名前のついた一膳飯がありますが、実はこれはハラミ、ミノなどの内臓や豚の耳のカリカリなど4品が大盛りのご飯の上に沢山盛られています。わたしのお気に入りですが、初めて注文したときにはあまり英語の上手ではない店主がわたしを呼びに来て、「こういうものが四寶飯なんだけれど、いいのか」とわざわざウィンドウまで連れてきて確認したイワクつきのしろものです。

西洋人はあまり内臓類を食べませんから、わたしが中国人でないと見て、豚の耳なんぞ出てきたらビックリしてしまうと思ったのかもしれません。

五香粉の香りがふわりとするその一皿は、今でもわたしが注文すると店主がこちらを見てニッコリとうなずきます。