おもてなしからひとりゴハンまで簡単レシピはがびのキッチン@オーストラリアで

整然と並ぶグレンのトマトチャツネ

グレンはとても几帳面なひとです。

キッチンの引き出しには、フォークやスプーンが小さいものの順にきれいに並べられていますし、電話をとるために読みかけの新聞を床に落として席を立とうものなら、数秒後にはもうその新聞は古新 聞の束の上に片づけられてしまいます。

それどころか、奥さんが食事の後片付けを終えると、彼がすぐさまキッチンにはいって何もかもピカピカに磨きたてるそうです。

そんなグレンの家の近くでトマトの大収穫があり、いくつもの大きなダンボール箱にはいったトマトが畑の隅で売られていました。タダ同然の値段です。
さっそく買ってしまった彼ですが、子供が成人してしまった夫婦では食べきれる量ではありません。

何か変わったものを作ろうとレシピを探し、出来上がったの はスパイシーなトマトチャツネでした。ある有名なシェフの料理本でしたが、 几帳面な彼のこと、きっちりとレシピどおりに作ったら、まあビックリするほど美味しいチャツネができあがってしまいました。

先月彼の家に何人かの友達が招待されたのは、実にこのチャツネのお披露目をしたかったからかもしれません。

バーべキューにされた仔牛肉のステーキや魚に色鮮やかに添えられ、何も知らされていなかっただけに、誰もが舌鼓をうって賞賛しました。

食後、「美味しかったら一ビン持っていくかい?」と得意げに勧められ、彼と一緒に食料貯蔵室に入ってみました。そこには色とりどりの保存食がぎっしりと、しかもきちんと色分けされて並んでいます。「すごいなあ」と皆声が出てしまいましたが、 それはチャツネのビンが20本以上あったことよりも、その軍隊の行進のように整然とした貯蔵室の風景に見とれてしまったからだと思います。

そのグレンと妻のジェニーは今年結婚50周年の金婚式を迎えました。
明日はそのパーティーに招かれていますが、さて、グレンのトマトチャツネはまだ貯蔵室に眠っているのかどうか…訊いてみようと思っています。