おもてなしからひとりゴハンまで簡単レシピはがびのキッチン@オーストラリアで

クリスマス狂騒曲

クリスマスの飾り

バンコクに住んでいたときには、ほとんど毎年クリスマスのたびに七面鳥を焼いていました。
10人ほどの客を招待してのパーティは、フルコースのメニューですから、「仕込み」も結構時間のかかるものです。

 

焼く1週間ほど前に8kgほどの冷凍七面鳥を購入、冷蔵庫で気長に解凍している間にその他のメニューを決定、ダイニングルームの飾り付けを考えながら当日を待ちます。そして前日には、全ての買い物を済ませ、保存のきくケーキ・クッキーなどを焼いてしまい、アペリティフ用のフィンガーフードを用意。

 

当日は、もう早朝から食材との格闘に明け暮れます。
ところが日本と違い、招待主が台所にはいったまま食事が進行することなど考えられませんから、客が到着するころには、自分もきちんと身だしなみを整えて、応対しなければなりません。

 

ニコヤカに雑談に加わりながら、サングリアをすすり、眼はしかしシッカリと時計を見て料理の進行を確認し、さりげなく台所に消え、わたしの犬と一緒にぼーっとオーブンを見つめているだけのメイドを叱りつけ、味見をし、鍋をかき回し、七面鳥の焼け具合をチェック、それぞれの大皿を数え、湯気を浴びて逆立った髪を整え、汗をふいて、またナニゴトもなかったかのごとく、そっと戻るわけです。

 

こんなことを繰り返して食事の時間となり、しかし次々と出す温かい料理の間合いも計らねばならず、デザートを出して珈琲とブランディの時間になるまで気は抜けません。ふう。

 

やっと珈琲をすすって寛いだころに、明日パジャマのまま過ごす怠惰な1日と、これから1週間ほど毎日手を変え品を変えて食べ続けなければならない七面鳥の残りに思いを馳せることもできるのでした。

 

パースに移り住んですでに18年め。毎年招待したひとたちもほとんど母国に帰国して、わたし自身はパースからの一時「帰国」です。バンコクのクリスマスは、今年もまた静かに小さな鶏の丸焼きとともに更けていくことでしょう。