食にまつわるエッセイ

垂涎の日々

仕事の鬼のマドレーヌ

バンコクに「里帰り」すると、待ってましたとばかりにたまった仕事(と言ってもサインをしたり、手紙の編集ぐらいですが)を渡してくれる秘書がいます。 実は会社を興したときからいる古株で、実際の肩書きは総務マネージャーなのですが、細か...
垂涎の日々

八百屋のオジサンは幼なじみ(かもしれない)

「いらっしゃい、いらっしゃい、今日はこいつが安いよー」という、賑やかな呼び声が響く夕食前の商店街は、ああ日本に帰ってきたなあ、としみじみと感じてしまう風景のひとつです。 わたしの実家のある住宅街にも、そうした古い商店街があり、...
垂涎の日々

手作りのアイリッシュクリーム

ベイリーズ(Baileys)というアイリッシュクリームが、わたしは昔から大好きでした。 その濃厚なクリームに強いアイリッシュウィスキーをミックスした味は、舌にほろ苦い甘さを残し、デザートの代わりになると言ってもよいくらいなのです。 ...
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垂涎の日々

山奥のフォンデュレストラン

チューリッヒの街から30分も行かないうちに、車はもう真っ暗な山奥の道を走っていました。街灯もなくただ回りには木々が静かに鬱蒼と茂るだけ、スイスの山道はどこもカーブの多い狭い道が多いのです。 そのころ仲のよかった夫婦が三組、わた...
垂涎の日々

クリスマス狂騒曲

バンコクに住んでいたときには、ほとんど毎年クリスマスのたびに七面鳥を焼いていました。 10人ほどの客を招待してのパーティは、フルコースのメニューですから、「仕込み」も結構時間のかかるものです。 焼く1週間ほど前に8kgほどの...
垂涎の日々

イタリア惣菜店の看板娘「たち」にとまどう

もう5年ほど前のこと。 土曜日になって、珈琲を切らしていたことに気づきました。わたしのお気に入りのイタリア食品店は土曜日はお休みなのです。 真空パックの珈琲ならスーパーで手に入ると思って車を走らせていたら、ちょうど並びの小さ...
垂涎の日々

マッドクラブへ感謝をこめて

キッチンのダンボール箱の中、ぬれ新聞紙を取り除くと、マッドクラブが、今起きたかのようにかさりと動きました。大きな爪を持つ赤みを帯びた泥蟹です。 わざわざダーウィンから手荷物で運んできたというそれを、生きたまま調理するのかと、わ...
垂涎の日々

家に代々伝わるキムチの味

「オフィスの冷蔵庫に入っているから持って帰ってね」 同僚の韓国出身教師に言われて、思わず微笑んでしまいました。 「お母さん、いらっしゃっているの?」 「うん、1月までいるって言うからもう嬉しくって」 彼女の母親は毎年1度...
垂涎の日々

かつお節を削る祖母

カツオ節が「削り節」の同義語になったのは、いつごろからでしょうか。 今ではもう小さな一回分の真空パックにはいった小袋が一般的になり、カツオ節がこげ茶色の固いかたまりだということを忘れてしまったひとも多いと思います。 わたしが...
垂涎の日々

固く静かなアボカドの実

「こんにちは、C*****です。はじめまして。」 オーストラリア訛りの日本語ですが、はっきりとした言葉が背中にふってきたとき、わたしはまだ放課後のオフィスで授業の整理をしていました。振り向くと、真っ白な髪の背の高い老人が、優しい微笑み...
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