垂涎の日々

垂涎の日々

クリスマス狂騒曲

バンコクに住んでいたときには、ほとんど毎年クリスマスのたびに七面鳥を焼いていました。 10人ほどの客を招待してのパーティは、フルコースのメニューですから、「仕込み」も結構時間のかかるものです。 焼く1週間ほど前に8kgほどの...
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イタリア惣菜店の看板娘「たち」にとまどう

もう5年ほど前のこと。 土曜日になって、珈琲を切らしていたことに気づきました。わたしのお気に入りのイタリア食品店は土曜日はお休みなのです。 真空パックの珈琲ならスーパーで手に入ると思って車を走らせていたら、ちょうど並びの小さ...
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マッドクラブへ感謝をこめて

キッチンのダンボール箱の中、ぬれ新聞紙を取り除くと、マッドクラブが、今起きたかのようにかさりと動きました。大きな爪を持つ赤みを帯びた泥蟹です。 わざわざダーウィンから手荷物で運んできたというそれを、生きたまま調理するのかと、わ...
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家に代々伝わるキムチの味

「オフィスの冷蔵庫に入っているから持って帰ってね」 同僚の韓国出身教師に言われて、思わず微笑んでしまいました。 「お母さん、いらっしゃっているの?」 「うん、1月までいるって言うからもう嬉しくって」 彼女の母親は毎年1度...
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かつお節を削る祖母

カツオ節が「削り節」の同義語になったのは、いつごろからでしょうか。 今ではもう小さな一回分の真空パックにはいった小袋が一般的になり、カツオ節がこげ茶色の固いかたまりだということを忘れてしまったひとも多いと思います。 わたしが...
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固く静かなアボカドの実

「こんにちは、C*****です。はじめまして。」 オーストラリア訛りの日本語ですが、はっきりとした言葉が背中にふってきたとき、わたしはまだ放課後のオフィスで授業の整理をしていました。振り向くと、真っ白な髪の背の高い老人が、優しい微笑み...
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升酒と口紅

バンコクに住んでいたその女性は、柳腰に大きな切れ長の眼、ちょいと化粧をして口紅を塗っただけで、周りのひとびとをはっとさせるほど、華やかな美しいひとでした。 日本酒が大好きな彼女は、わたしと年が近いこともあって、よくバンコクの居酒屋で大酒を...
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いさぎよく、アルデンテ

イタリア系のおっかさんは、背と幅が同じサイズではないかと思われるほど、コロコロと太っていました。 スイス・チューリッヒ時代の友達の母親でしたが、彼が日本滞在中にわたしの母の世話になったこともあって、それ以来とても親しくしていたのです。 ...